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career

共に働くこと

b.noteは、
スタッフ
一人ひとりの
想いやビジョンを
叶える場所へ

b.note代表の新井さんは、いつも私を驚かせる。今年の春先、突然連絡をくれた時もそうだった。「会社をつくって10年の節目になるから、未来会議っていうのを今度やるんだ」。その声色から、携帯電話越しに新井さんのワクワクした感情が伝わってくる。

「うちの移り変わりを見てきたあなたにもぜひ一緒に参加してほしい。今の会社がどう映るのか見て欲しいんだ」。新井さんのその言葉に、今度は私が少し興奮していた。

サプライズから
始まった
「未来会議」

「b.noteは、会社のビジョンを持たない事に決めた」。未来会議の冒頭から、新井さんはやはり私を驚かせてくれた。私は経済誌メインのルポライターという仕事柄、数多の企業を見つめ続けてきた。その経験則から言えば、多くの経営者は会社がある程度成長してくると、慌てたようにビジョンをつくり始める。

拡大する組織に対して、社員たちに自分の考えや会社の方向性を浸透させなければと考えるからだ。その発想は決して間違いではない、と私は思っている。
だから、この会議がこのまま進んで大丈夫なんだろうか?と少し不安にもなった。

「会社なんてものは、そもそも社員みんなのビジョンの寄せ集めでできている」
ならば、「”会社のビジョン”を掲げるより、”個人個人のビジョン”をはっきりすることが大切だと思う」
「お互いのビジョンを認めあうことで、10年後のb.noteをつくっていきたい」

新井さんは、力強いまなざしで社員一人ひとりを見つめながら、ありのままの気持ちを語っていく。その想いは、静かに、けれど確かに参加した全員に伝わっていった。

「10年後の私と
会社」に、
一人ひとりが想いを
馳せる

現在のb.noteは、鎌倉・古我邸で働くスタッフ=全社員という構成だ。会議に参加したスタッフは「キッチン」「サービス」「ウェディングプランナー」の3職種。この他に山口県萩市にもグループ会社があり、頻繁に交流が行われているが、今回の会議はb.noteスタッフのみの参加だった。

きっと普段、スタッフの皆さんは目の前の仕事に夢中だろう。10年後に想いを馳せる機会は、あまりないかもしれない。けれど、会議を通して一人ひとりが自分自身の内面を見つめ、語り、仲間みんなと共有していくうちに、自分のこと、仕事のこと、未来のことに考えが回り始めていくのが、ありありと伝わってきた。

会議は、いくつかのテーマをもとにグループディスカッションを行うスタイルで進んでいく。例えば、仕事や会社の現状について。それに「b.noteを動物に例えるなら」と......いったポップな質問もあった。

きっと普段、スタッフの皆さんは目の前の仕事に夢中だろう。10年後に想いを馳せる機会は、あまりないかもしれない。けれど、会議を通して一人ひとりが自分自身の内面を見つめ、語り、仲間みんなと共有していくうちに、自分のこと、仕事のこと、未来のことに考えが回り始めていくのが、ありありと伝わってきた。

カラフルな個性が
集まる、
自由な空気感。

この会議の中で、興味深いことが2つあった。

1つはスタッフ皆さんのアウトプットが、ことごとくバラバラだということ。普通は、同じ環境で働いていれば何となく考え方が似てきてもおかしくないものだ。しかし、ここでは一人ひとりの言葉に個性があり、気兼ねなく自分らしい答えを出している。では会議の雰囲気もバラバラかというと、むしろみんながゲラゲラと笑い合い、とても楽しそうで、ディスカッションは弾むように進んでいった。

2つ目は、会社のことを話すときに自由というキーワードがよく使われることだった。確かに、この会議自体も、まさに自由な雰囲気に満ちあふれていた。ただ、自由という言葉が出てくる時には「自由を自分の力に変えている」という意味合いの発言と、「自由があることで意見がまとまりにくい」という考えの、2つの方向性があるように感じた。

「従うのは
会社や他人
ではなく、
”未来の自分”
だけでいい」

新井さんは、こうしたディスカッションに参加しながら、一日をかけて一人ひとりの想いに向き合っていた。そしてこの日の会議の最後、「自由」について新井さんが語った言葉こそが、b.noteという会社を分かりやすく表現していた。

この10年で、新井さんの考え方や言葉はよりシンプルになったと思う。その一方で、言っている事や実践している事は、何も変わっていない。それがとても嬉しかった。

「b.noteは会社をつくったときからスタッフが自由に考えることを目指していたから、形はどうであれ、みんなが”自由“を意識しているのはすごく嬉しかった」
b.noteで言う”自由”とは、自分を由(よし)とできる”未来の自分”を認めること」「従うのは会社や他人ではなく、未来の自分だけでいい。心の底から”信じられる未来の自分に従うことが、本当の自由なんだ」

この10年で、新井さんの考え方や言葉はよりシンプルになったと思う。その一方で、言っている事や実践している事は、何も変わっていない。それがとても嬉しかった。

「自分のビジョン」

「会社のビジョン」

会社経営には、正解がない。それはもちろんわかっている。それでも今回の未来会議に参加したことで、会社がつくったビジョンを守るために社員がエネルギーを注ぐよりも、スタッフ一人ひとりが「こうなりたい」と思う自分なりのビジョンを持つことや、「未来の自分」を実現するためにエネルギーを注ぐ方が、これからの時代に合っているように思えた。それに何より、会社全体がワクワクしていることが、とても強く感じられたのだ。

2019年の夏に会社のビジョンを持たない事を決め、スタッフ個人個人が描くビジョンを集めて会社をつくっていこうとしているb.note。これからの10年、彼や彼女たちは、どんな世界をカタチ作っていくのだろうか。そして、さらに新しい仲間が加わった時、どれだけ自由な未来が想造されていくのか。今はまだ想像もつかない。ただ、そこにはきっとポジティブな驚きが待っているはずだ。2029年の夏を、心の底から楽しみにしています。